燃焼エンジンにおける最先端のバルブトレーン動的解析

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概要

この書籍はRotec社(ミュンヘン)が提供する最新のバルブトレーン計測解析技術の詳細な資料です。本書はエンジン性能と耐久性を最大限発揮する上で、バルブリフト量、速度、加速度の正確な計測の重要な役割を強調しています。モーターベンチと燃焼エンジンでの動的バルブトレーン解析の為にRotec社のツールがエンジン最適化に注力する様々な業界のエンジニアによって使用されています。

紹介

内燃エンジンにおいて、バルブトレーン構成部品の正確なタイミング、エアー制御、燃料混合インテイクそして、排ガスの排除が大変重要です。バルブトレーン動作の正確さはエンジン性能、燃費、排ガスに直接、影響を与えます。この研究はバルブトレーン力学の複雑な解析を実行する為、Rotec社に先進的な計測技術への投資を促し、性能増強と効率改善への可能性を探索させてきました。

方法論

1)計測システム
Rotec社の先進計測システムRASdeltaは3.2 MHzアナログ計測ボードの使用によって、バルブリフト量、速度、加速度のリアルタイムデータを計測するのに適しています。複数チャンネル計測では、チャンネル毎の最大サンプリング周波数は1.6MHzに達しますが、自動車、重工業、レース使用での最も一般的な使用では、400 kHz~800 kHz間のサンプリング周波数で充分です。
 カムリフト頂点の変位(速度、加速度)、角度のみを逃さず計測する場合は、6000rpmにて200kHzでのサンプリングが必要であり、バルブ着座時の挙動を計測する場合は、周期が短い為それよりはるかに高いサンプリング周波数を必要とします。

同時に、少なくても1ch高分解能回転データが回転速度に対するバルブの挙動を解析する為に、更にカムシャフト(時にはクランクシャフト)の角度位置を記録しながら、RASdeltaの12.3 GHzの回転計測ボードで記録されます。例えば、エンジンの回転上昇試験で計測されます。

2)センサーとシグナルコンデショニング
燃焼バルブトレーン解析用では、用途によりRotec製品を使用した2つの設定があります。
オプションa)は、MRセンサーのSIN/COSデータ処理の為にMRSCモジュールと共にRASソフトのバルブトレーン解析モジュールを使用したバルブ挙動の詳細解析用に使用されます。
オプションb)は、演算とオンラインモニター用にオンラインのバルブリフト信号を提供します。
両方のオプションが解析用途によりユーザーに重要な価値を提供します。

バルブ信号処理のような用途に使用される特殊なセンサーがSensitec社のGLM711AVB磁気抵抗センサーであり、1mmの歯形状の計測用に開発された固定ピッチセンサーです。例として、バルブリフト量、バルブシャフト回転の計測に使用されます。鉄のような磁気素材の歯形状では磁場線を密集させる事で、MRセンサーのサポート磁石の磁場を変調させます。歯形センサーはこの変調された磁場強度を比例的な電気信号へ変換します。MRセンサーは2つのホイーストンブリッジを1/4ピッチ距離を保持させて装備しており、各々の歯形状に対して正確なサインとコサイン波形を生成します。

         図1.バルブとセンサー                         図2.推奨される歯形状

バルブステムは放電加工により歯形状になります。最良の結果を得る為には高精度の加工が要求されます。センサーは図2のごとく異なるタイプの歯形状を許容します(最下段の三角歯は精度がやや劣る)。特別な高温エポキシで全ての加工面を満たす事で、バルブガイドとシーリングを保護します。

GLM7AVBセンサーはSIN/COS信号を提供する為、更にバルブの動的解析を進める為にバルブリフト量を計算する為の信号処理を必要とします。

  1. 1つには、Rotec社製GMRセンサーアダプターがあり、この特別なアダプターはGLM711AVBの信号を提供、分割、増幅し、RASdelta高速3.2 MHzアナログ計測ボードへSIN/COS信号を別々に出力します。このアダプターはUSB-Cか、8ピンコネクターのどちらかを通じて電力を得て、2つのGLM711AVBセンサーを同時に処理できます。SIN/COSは磁気抵抗センサー用にRASソフトの特別モジュールMRSCの支援で演算されます。
                         図3.GMRアダプター計測配列

b. 一方はでは、ユーザーはバルブリフト信号のみのオンライン解析を要望するかもしれません。この要望は一般的にはダイナモメーターへの対応に関係します。ここでは、シリンダー圧、インテイクのエアーMass、吹き抜け、燃費などの他の入力要素がある中で、バルブリフト量のみが要求される信号です。いすれにせよ、その焦点は高い効率の内燃エンジンの開発です。

図4.ELVTMMアダプター計測配列

Rotec社のバルブトレーン計測モジュールは800 kHzまでのアナログ出力周波数で同時に4つのセンサーまでのバルブリフト量を正確にオンライン計算します。これはスタンドアローンシステムであり、各々のバルブリフトに対応した、そして、追加のシグナルコンデショニング無しで、動的挙動の詳細な解析用に使用できる0 – 10 V出力信号を提供します。
データは変化する速度、負荷、温度環境を含んだ幅広いエンジン操作条件で収集されます。この包括的なデータ収集は現実世界の条件の元、バルブトレーン力学を完全に理解する確かな手法です。

データ解析

Rotec社の特別なRASソフトソリューションを使用して、収集したデータはバルブトレーンの性能へ意味ある洞察を抜き出す為に解析されます。大きなデータ量を処理し、複雑な解析を実行する為のソフト能力が傾向、異例、改善箇所を認識する為に重要です。

1) MRSCモジュール
SIN/COS信号は一般的には燃焼エンジン内で異なる動作条件の元、バルブ挙動への最大限の洞察を得る為に高サンプリング率で記録されます。バルブリフト信号を得る為、2つのアナログ計測信号を演算するには、特別なソフトオプションが使用されます。Rotec社のMRSCソフトモジュールは2つのアナログ信号を変位カーブへ変換します。直線的な動きの方向反転を検知します。入力信号の振幅におけるオフセットエラーと相違も同様に修正されます。SIN/COS信号の修正は動作サイクルの継続的なデータを必要とし、カムシャフト回転速度のような個別の回転速度チャンネルによって提供されます。

図5.SIN/COS,バルブリフト、バルブ速度

2) バルブトレーン動的解析
全てのバルブトレーン解析の研究目的はバルブトレーン動作特性の入り組んだ詳細を明らかにする事です。重要な探索にはエンジン速度の影響力、バルブリフトのプロファイル上での負荷、速度変動、そして加速パターンを含むべきです。特に上記のようなバルブリフト計測システムに要求される高分解能データはバルブの動的挙動の詳細な調査を可能にします。解析ツールはバルブトレーン力学がエンジン全体の性能にどのように影響を及ぼすかの重大な洞察を明らかにするものです。改善可能と認識される箇所はバルブタイミングの精度、機械的ストレスの削減、そして、燃料混合気体と排ガス排出の最適化を含みます。

以下の例はRASソフトのバルブトレーン解析モジュールへの洞察を与え、クラシックなデーゼル/ガソリンエンジン、再生可能/合成燃料、水素内燃エンジンを含むモーターレース、ロードカー、トラック、船舶エンジン、固定式デイーゼルエンジンのような様々な業界で特別なソフトアルゴリズムがバルブトレーン解析研究に加えることができる価値に脚光を浴びせます。演算ソフトは計測された信号の自動的な詳細解析であり、多種の解析ツールを含んでいる為、最も関係したオプションと結果のみを以下で議論しています。全てのオプションの詳細な記載はRASマニュアルに記載されています。

  1. Generalタグの設定
    バルブリフトの入力信号とカムシャフト、クランクシャフトのどちらかを回転速度の参照信号と定義する為General設定はユーザーに追加価値を与えます。例えば、アナログ信号の干渉がアルゴリズムによって検知されると直ぐに、バルブリフトの誤ったサイクルを捨てるオプションです。誤ったサイクルは解析中に無視する事も可能です。 また、微分前に個々のローパスフィルターを掛ける事も有効な手段です。

b. Geometry
基本的な解析は計測されてバルブトレーンデータの基本的調査の為に、Geometry解析オプションで達成できます。これはバルブリフト量、速度、加速度の全体的な挙動を示します。これはまた、例えば、微分前にローパスフィルター効果をチェックする事でも興味を引きます。

図6.Geometry

3つの入力値とそれらの角度の極端な値(最小か最大)を表示できます。バルブ開口、閉じる時、特定のバルブリフト値(@Lift)で速度、加速度、角度を表示できます。

c. Dynamics
Dynamicは設定したリフト量(@Lift)までのバルブ閉じでの詳細挙動を解析します。バルブが閉じる時、指定した@Lift量での角度間隔内で両極端な値(最小か最大)を解析します。例えばバルブの跳ね返り期間です。

図7.Dynamics

d. Lift Loss
バルブが開いている、閉じている間のリフト損失量が特別なツールで計算されます。リフト損失は部品の変形とバルブラッシュアジャスターのたわみによって引き起こされます。リフト損失を計算する為の典型的な2つの手法があります。1つの手法では、規定の角度位置を幾何学的なバルブリフトカーブによって決定します。2つ目の手法は、以下グラフで角度位置は加速度カーブとバルブリフトカーブによって決定されます。

図8.Lift Loss

e. 着座速度
ツールはバルブが連続して閉じている間のバルブ速度を解析します。各々のサイクルは1つのデータ地点を表示し、バルブが閉じる角度でのバルブ速度を表現した2Dカーブを形成します。
2つの手法が角度を決定する為に配備されています。Method 1:閉じ@Lift(角度位置が予め規定したバルブリフト量)でのバルブリフトカーブから着座速度が得られます。Method 2のDynamic Closeは閉じ@Lift地点の後で最初の最大加速度を表示します。

図9.着座速度

典型的な結果

以上の記述は性能問題を検査し、エンジン設計の改善を進める上で、正確なバルブトレーン計測の重要さを示しています。Rotec社によって提供された進展した計測能力はエンジン技術を革新させる上で重要な役割を果たしており、様々な業界で馬力、燃費、排ガス削減での改善に導いています。

以下の解析結果は技術力と共に製品上で数10年の経験によって導かれた特別なハード、ソフトの能力への洞察を与えています。

                 図10.バルブリフト ― カム角度 ― 回転速度
           図11.バルブ加速度 ― カム角度 - 回転速度
                 図12.Lift @Open, Lift`Close

結論

Rotec社の先端計測技術はバルブトレーン力学を解析する為に包括的な解決策を提供し、エンジン性能と効率への深い理解を可能にします。
Rotec社の単一ソース手法はRotec技術者を通じて磁気抵抗センサー、信号演算、データ計測、後解析ツール、そして、細かなプロジェクト支援を含め全ての計測系統をカバーしている為、ユーザーは詳細な機能と照明されたプラグ&プレイソリューションを安心して頼る事ができます。
Rotec社の計測、解析ツールはチャンピオンシップの勝利に向けたレースチームから高負荷が掛かる重工業仕様のエンジンまでエンジン最適化プロジェクトの為に使用されてきました。バルブトレーン解析研究から得られた洞察は内燃エンジン設計と動作における凄まじい発展の可能性の扉を技術者に開かせ、より大きな馬力、効率、そして環境に優しいパワーユニットの開発に貢献しています。